« 気づかないうちにインフルエンザ。 | メイン | 柔道大会から展示会へ。 »
2009年03月07日
防虫と防カビ。
コメントからご質問をいただきました。
『冬物の収納の時期が近くなってきました。そこで防虫と防カビの方法について様々な情報がありよくわかりません。
ある情報には虫よりカビのほうが恐ろしく、両方に良くない湿気を下げるためにクローゼットの換気をちょくちょくしたほうが良いとありましたが、そんなにたびた開け閉めしたら防虫効果が抜けてしまうのではないかと思ってしまいます。
今、クローゼットには普段着る服と、いつか着るだろうと思っている服(クリーニング済み)とを収納場所の関係もあり一緒に収納しています。
仮にその中の服のどれかが虫食いにあった場合、他の服はどのような対処をしたら良いでしょうか?クリーニングに出せば安全だと思いますが、クローゼットの中のものすべてを出すとなると料金的に結構かかってしまいます。』
基本的なおさらいをします。
防虫剤とは、コイガやヒメカツオブシムシという虫により、衣類が食べられてしまうのを防ぐために使うものです。
先日、某クリーニング屋さんのブログで、防虫剤は殺虫剤ですから・・・というくだりがありましたが、ちょっと違いますね。
防虫剤は虫を殺しているんではなく、忌避剤といいまして、虫の嫌な成分を出して近寄らせないようにしているんです。
なので、中には奇特な虫もいまして、稀に防虫剤をへともしない虫が出てきてしまいます。
次に防カビですが、こちらは除湿剤が主ですね。
カビの発生には条件があります。
湿気・気温・栄養の三つがそろうとカビが生えてきてしまいます。
逆に言うと、このうちの一つを取り除いてしまえば生えづらくなるということなんですね。
ですから、除湿剤で湿気を抜いてしまおうということなんです。
ご質問を一つ一つ答えていきましょうね。
まず、虫よりカビのほうが恐ろしいかというと、どうなんでしょうね。
片方は穴が開いてしまいますし、もう片方はカビが生える。
穴は修理しなければいけなくなるし、また修理代も馬鹿にならず、修理の後が目立つケースもあります。
片やカビは、洗うと落ちてしまいますが、根本的に残るケースがあるので、時間がたつとまた生えてくることもあるんです。
また、カビが生えた箇所は生地が弱くなっていたり、色が抜けていたりすることもあるんです。
虫食いに比べ、カビのほうが経験はあるんじゃないでしょうか。
どこの家庭でもエアコンはあるし、住宅が良くなったので密閉度が増し、湿気がこもりやすい。
そういう意味では、カビのほうが経験しやすいんじゃないかなあと思うんです。
ただ、なってしまえばどちらも厄介なので、どちらのほうが怖いというようなことはないと思いますよ。
次に、湿気を取るために頻繁に開け閉めすると、防虫効果が逃げてしまうのではないか?との事。
これは正解です。
防虫剤は、空気より重いので、下にたまる傾向があります。
先ほども書きましたが、忌避剤ですので、理想はクローゼット全体に満遍なくいきわたっているのが望ましい。
一度しまったら、開けないでおくと防虫剤の効果がクローゼットにこもってくれるので、もし虫が来たとしても効果が出るんです。
ところが、開け閉めすると、その都度防虫剤が流れて外に出てしまう。
これでは、効果が期待できませんよね。
湿気を取り除くために開け閉めするよりは、クローゼットの中に除湿剤を入れておくほうが効果的だと思います。
冬物をしまう際に、防虫剤を入れ、除湿剤をセットし、なるべく次のシーズンまで開けないで置くのがベストですね。
防虫剤は空気より重いので、上のほうにおいてくださいね。
下のほうにおいても意味はありません。
ただ、ご質問を頂いた方のように、普段着ているものとしまうものとが一緒というケースも多いのも事実。
実現するのは難しいかもしれません。
日本の住環境が変わり、昔のようにタンスで衣類を管理することがなくなってきています。
そういう意味では、タンスでの管理は実に合理的でした。
棚ごとに分けてしまうことが出来、たたんだ衣類の上に防虫剤を置くのも理想的。
難点は、畳んでしまっているので、次のシーズンに一度アイロンをかけなければならないこと。
それで昔は春が近づくと、クリーニング屋さんにアイロンがけのご依頼が殺到したんです。
実は虫は何でも食べるわけではありません。
虫に食われやすい素材というものが存在します。
ですから、虫に食われやすい物から重点的に管理するという手もあると思うのです。
虫も人間と同じでやわらかいものが好み。
ですから、カシミヤやアンゴラなどの製品を好みます。
あと起毛してあるような素材も好きですね。
また、味が付いているほうが好きですから、同じ製品でも汚れているものの方が食われやすいのです。
これらの衣類を別に分け、しまうときだけ、分けてボックスにたたんで入れておくというのはいかがでしょうか。
防虫剤の効果も出やすいですし、分けて仕舞う事で次のシーズンまで開けることはない。
虫や湿気が入る可能性がぐんと減ります。
虫も湿気もただ入ってくるわけではないんですね。
虫は人が連れてきてしまうんです。
歩いていて、衣類について家に入ってきてしまう。
それが、やわらかい繊維についてしまうんですね。
また、湿気は着た服をそのまましまうとこもりやすくなります。
人間の汗で意外と服は湿気ているもの。
クローゼットにしまう前に、ハンガーにかけて少し干すといいですね。
ただ、湿気はこれ以外にも住環境が深く関係します。
昔田んぼだったところに建てられたとか、構造上湿気やすいとか、そういう事もあるので、その都度状況に応じて対策を取っていくのが望ましいですね。
いまは、除湿機も高性能になって安くなっていますから、購入を考えるのもいいと思います。
最後に、虫くいの被害にあったとき、他の衣類の対策は?との事ですが、クリーニングするよりもまず確認が大事。
他に食われている服がないか確認をし、次にやることは洗っていない衣類をクリーニングすること。
一度しか着ていないから、と洗わないでしまってある衣類は、虫の格好の的です。
きれいにしておかないと次の被害が出てしまいます。
穴が空くまでは行かず、表面が食べられているとき、クリーニングすることで弱った箇所に穴があくこともあります。
これも虫の被害ですから、びっくりしないように覚えておいてください。
ご質問を頂いた方はおそらく虫を洗い流してしまえば、とお考えになったのかもしれませんね。
でもそれよりも、穴の確認、汚れている衣類のクリーニング、食われそうなものを別に分けるなどするほうがいいかなと思います。
そして、防虫剤をしっかりと使う。
先ほども書きましたが、効果が逃げないように、なるべく上のほうにおいて、開け閉めは少なくするほうがいいですね。
衣類のしまい方の説明をしているサイトは沢山出てきましたが、その理由をきちんと説明しているところは意外と少ないと思います。
おそらく、どこかに書いてあった内容をそのまま写しているのだと思うのですが、住環境ってさまざまじゃないですか。
すると、紋切り型で収まるというわけではないと思うんです。
防虫も防カビも原因があるわけですから、それを的確に知り、対策を取るのが一番なのです。
色々なサイトを拝見しますが、もう少し説明するとお客様も分かりやすいだろうなあといつも思うんですよね。
これから暖かくなると、衣替えがまっています。
ホームセンターなどにも、年々便利な物が出てきていますから、一度チェックに行くといいかもしれません。
カビと虫食いを防いで次のシーズンもご機嫌に着られるようにしたいですね。
投稿者 boribori : 2009年03月07日 23:57