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2008年06月18日
複合的な要素
コメントを頂きまして、素材の特性をもっと良く知りたいとありました。
とても熱心な方で、こういう方が従業員でいると、経営者の方はうれしいんではないかなあと思います。
クリーニング屋になると、いろいろな勉強をするのですが、結構人によって偏るんですね。
知識なんかよりも技術だ!と実践を主にやる人。
まずは繊維の知識だ、と勉強する人。
いやいや、洗剤の勉強をしなければ始まらない!と言う人。
やはり職人系の仕事ですから、どうしても知識よりも技術そのものにこだわる人が多いような気がしています。
実際にやらなければ落ちませんので、知識だけではダメなのも事実なんですけどね。
偏った勉強は実はクリーニングの幅を狭めるんです。
と言うのも、こうしたらこうなってしまうとか、リスクを回避するような情報が多くなります。
すると、怖くて手が出せなくなる。
しかし、洗剤の知識、素材の知識、実践がかみ合うと、不思議な事にきちんと洗ったりしみを落とせるんですね。
ですから、本来は複合的な知識が必要になると思うんです。
私もいろいろな本を買い、読みましたけど、クリーニングの技術は実はそうたいして変わっていません。
30年前の本を読んでも、今でも十分に通用してしまいます。
また、素材の特性も基本はそうたいして変わらない。
でも、現実は企業努力をしているので、素材の特性を乗り越えるような加工が施されていたりと、難しくなっています。
加工などは本を読んでも載っていないことのほうが多いですし、地道に繊維関係の資料に目を通すしかないんですよね。
こうやって加工されているんだなあとか。
クリーニングの勉強の難しさです。
私も苦労したんですけど、素材の勉強をして、それをお客様に伝えても、ほとんどがだから何?といった情報にしかならないんです。
それは、現場に直面した説明になっていないから。
たとえば、綿の特性で、色が落ちやすいとか毛羽立ちやすい、と言う表現で説明をしたとして、お客様にはそれがどうなるの?となってしまいます。
これらは基本的な情報で、さらにお客様が分かりやすい、また日常で知っておくと良いように肉付けして説明する必要があるんですね。
それがなかなか、素材の勉強だけでは、肉付けした説明が出来ないんですよ。
結局、自分で洗ったり仕上げたりしているうちに、自然と出来るようになったんです。
アメリカの某クリーニング屋さんでは、働いている方全員が洗いもしますし、仕上げもしますし、受付もします。
だから、全員説明が出来る。
数年前に理想だよねえなんて話を聞きましたけど、今の日本の諸事情では厳しいのかなあと思います。
となると、受付の方にきちんと理解してもらうように、研修なり勉強会を開いた方が良いと思うんですよね。
もしくは、割り切ってそういった説明はすべて省いてしまうとか。
最近、どこも同じで分かりづらいなあと思っていた所なんで・・・。
どの仕事も一人前になるには大変です。
でも勉強したい!と言うモチベーションがあるのが一番の長所だと思います。
頑張って欲しいですね。
投稿者 boribori : 2008年06月18日 23:18
コメント
ありがとうございました。お返事、とても嬉しかったです。お話を読んでいて、以前に勤めていた職場のことを思い出しました。印刷会社のデザイナー。最新のソフトをつかいCGの技術を優先に磨く人。無駄に多用せずにクライアントのイメージをくみ取ろうと頑張る人。しかし、クライアントに接するのは営業マンの仕事でコスト面の交渉もあるし、デザイナーがクライアントとの話に時間を裂かれては、仕事の能率が悪い。
障害者施設の職員。どんどん現場に出て、そこから学んでいくという方針。しかし、病気の特徴から、独特な「こだわり」があるのか、個性なのか甘えやわがままなのか分からないから対応につまずく。専門書によって病気からこういう症状をおこす特徴があることを知ったり。でも、職員に求められているのは、時間通りに食事させて、トイレに連れていき、お風呂に入れて、着替えさせて、寝かせて、徘徊していないか、それだけをしてくれればいい。
話が随分とそれてしまいましたが、仕事を分担することによってスムーズに周ることもたしかなのですが。現在、受付をしていて会社から求められている「分業」ではなく、受付と工場が核家族ならぬ「核業(かくぎょう)」になっている気がします。
こちらで、お客様との会話も重要で大切だということを学び、生地の特性や加工について、アドバイスを頂いたように(パソコンを持っていないので携帯からの)ネットで本を取り寄せてみたいと思います。ありがとうございました。
投稿者 浅美 : 2008年06月19日 03:29
浅美さん、まいどです。
どの仕事も効率を求めるために、分業されてますよね。
いい面ももちろんあるのですが、全部出来る人が分業するのと、出来ない人が分業するのとでは意味が違うと思うんです。
だから、本当は、ちゃんと分業して回るように、一度全部の仕事をきちんとさせるべきだと思うんですよね。
携帯からのアクセスでここを読んでくれているとは気づきませんでした。
それだけでも物凄い労力ですし、モチベーションが高いんだなあと改めて思います。
これだけの熱意があるんですから、きっと勉強しだせば早いんでしょうね。
検索が大変なようでしたら、全ドラさんに電話をかけてみてください。
本が欲しいと言う事を伝えれば、相談に乗ってくれると思います。
会社に全ドラの新聞が来ていないですかね?
他の業界紙でも本を売っているので、どこでも大丈夫だと思います。
投稿者 boribori : 2008年06月19日 07:10