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2008年03月27日
クリーニングのセカンドオピニオンについて。
先日の神奈川でのセミナーの話をアップしたいと思います。
当日話そうと思っていた生原稿に、少し付け加えております。
このお話はどこでして頂いてもかまいません。
組合や勉強会など、是非検討してみてください。
また、お話をしたら、よろしければご連絡をお願いします。
セカンドオピニオンの輪が広がっている事が分かると、他の人もやってみようと言う気になると思いますので。
よろしくお願いします。
では、どうぞ。
クリーニングとセカンドオピニオンについて
2008.3.23
今回の話は、クリーニング業へセカンドオピニオンを提案してみようと思います。
クリーニングのセカンドオピニオンとは?
簡単に言うと、他店で処理、もしくは断られた品物の相談を受け付けることです。
※ 今まで個人レベルでは皆さんやってきていると思う
1 他店で落ちないしみをお任せください
2 何でもご相談ください。
など等。
しかし、それは自分のお店の技術を宣伝するためのもので、セカンドオピニオンとは意味あいが異なる。
また、個人レベルでどうにかならなくなってきている。
今回の話は個人の枠をもう少し広げて、地域レベル、組合レベル、業界レベルで考え、提案してみたいと思います。
クリーニングのセカンドオピニオンを考えるに当たり、本家本元のセカンドオピニオンとは何ぞや?と言うことを知っておく必要があると思います。
セカンドオピニオンを直訳すると、第二の意見、となります。
具体的には診断や治療方針について主治医以外の医師の意見のことをいいます。
※ ここで注意しておきたいのが、あくまでも「意見」だと言う事。
前の診断が正しいかどうかは判断しない。
意見を聞いて総合的に判断するのは患者さんであると言う事。
これは後々私たちにも関わってきますのでおぼえて置いてください。
・ セカンドオピニオンをするメリットは?
1 主治医の診断や方針に対する確認が出来る。
2 治療の妥当性を確認できる
3 主治医の示す治療法以外の治療法が得られる可能性がある。
つまり、担当してもらっているお医者さんとは別のお医者さんに相談して、情報を得ることで、自分で正しいかどうか、比較して判断することが出来る、と言うことなんです。
・ クリーニングのセカンドオピニオンにも同じことが言えます。
1 見立てやクリーニング方法の確認ができる。
2 クリーニングの妥当性を確認できる。
3 他店で出来ないと言われたものも、洗える、染み抜きできる可能性がある
他にも相談しやすくなるなど。
ここではっきりとしておかないといけないことが一つありまして、セカンドオピニオンは、診療ではなく、相談を受けると言うことなんです。
つまり、クリーニングの場合も同じで、持ち込まれた品物に対して、前回のクリーニングが良いとか悪いとか、そういったことは言わなくて良いんです。
では、何をするかと言うと、この衣類を預かるとしたら、自分ではどうやって処理をするのか?汚れが落ちると思うか?落ちないと思うか?それを答えてあげれば良いんです。
そして、最初のクリーニング屋さんの結果と、相談したクリーニング屋さんの話を比較しながら、お客様が判断をしていく。
これがセカンドオピニオン、なんですね。
・ お客様側にはいろいろな情報が入ることにより、選ぶことが出来ると言うメリットがあります。
・ 今までよりもいいお店を探せるかもしれない。
・ クリーニングの標準が分かる。
業者側にもメリットがあります。
・ 相談を持ってきてくれるので、新規客が増える可能性がある。
・ 自分の店の技術を知ってもらうチャンス。
・ 今までクリーニングをあきらめていた人たちを呼び戻せる。
今までクリーニングをあきらめていた人たち・・・、どういう事かといいますと、クリーニング屋さんに出しても、駄目だと思っていた人たちのことなんです。
ごく最近までよく言われていたんですが、安かろう、悪かろうのクリーニング屋さんを利用して消費者が失敗すれば、それに懲りてきちんとしたクリーニング屋さんを探して選んでくれる、そう思っていたんですよね、今までは。
自分たちはしっかりした仕事をしているんだから、分かってくれるはずだと。
実際、ごく少数ですが、安かろう悪かろうのクリーニングに懲りてきちんとしたクリーニング屋さんを探した人もいます。
でも、ほとんどは、クリーニングでは綺麗にならない、とあきらめてしまっています。
クリーニング屋さんを探さなかったのか?と言うとそうではなく、探しても結果として、圧倒的に取次店が多いため、同じようなお店にしか出さなかったと言うのがあると思うんです。
実際、うちでもよくある話なのですが、うちにお持ちになる前にクリーニング屋さんを4件はしごしたとおっしゃるんですね。
ご利用されたクリーニング屋さんの名前を聞いていくと、名前が違うだけで、工場はみんな一緒。
同じ工場で洗っているんだから、綺麗になるはずありません。
でもお客様は、違うクリーニング屋さんで試したと思っている。
幸いにもうちに来たので、説明を聞いてびっくりしていましたが、ほとんどのお客様はうちへ来る前にあきらめてしまっていると思います。
また、クリーニングにあきらめる人だけでなく、その弊害として、独自の解釈が常識として横行するようになっている、と言うことがあります。
これがまた厄介。
洗濯やクリーニングと言うものが、きちんと継承されていませんし、学校の勉強でもやらない。
全自動洗濯機が普及したり、簡単に使える洗剤、汚れまで落としてしまうようなイメージがある消臭剤などの普及で、どんどん洗濯やクリーニングが生活から遠ざかっている。
すると、不思議なことに、突拍子も無いような解釈をしだします。
そして、それが何人も出てくると、常識になってしまう。
こういうことがありました。
お客様が当店へ着物をお持ちになったんです。
着物をクリーニングに持ち込んだ後、友達とお茶を飲んでいるときに、着物をクリーニングに出したと話したら、みんなに一斉に笑われ、着物は洗わないのが常識だ、おかしいといわれて、血相変えてお店に戻ってきた、事がある。
このお客様も普通のことで今までと同じように洗いに出しただけなのに、みんなに言われて自分がおかしいのではないかと不安に思った。
今回は驚いてお店にきて話をしてくれたから、説明が出来ましたが、おそらくほとんどの場合、これで需要がなくなってしまうと思うんです。
これは、非常にまずい問題ですね。
他にも、クリーニングに出してもスーツが綺麗にならないので、洗わないで2年着たら捨てる事にしている人がいる。
先輩にもそういう人がいる。と言うケース。
原因はいろいろとあると思うのですが、セカンドオピニオンをすることで、クリーニングの基準、標準と言うものが消費者の中にきちんと出来上がっていき、説明を受ける機会が増えることで、間違った解釈が減っていく、そう思うんですね。
また、セカンドオピニオンの恩恵に、妥当な品物に太鼓判を押せる、と言うのがあると思うんです。
クリーニングの標準が分からないので、クリーニングに不信感をいだいている人は、常に不安だと思うんです。
ちゃんとしているんだろうか、大丈夫なんだろうか、本当はもっと良くなるんではないだろうか。
そういう方がご相談に来て、商品に問題が無ければ、問題ありませんと、太鼓判を押してあげれば良いんです。
これも先ほどの話と一緒で、複数の専門家の話を聞くことで、お客様自身が判断することが出来るようになります。
クリーニング業者にとっては、セカンドオピニオンが浸透すると、かなりの恩恵が生まれると思うのです。
最初に、個人レベルではなく、もっと大きなくくりでとお話しました。
その理由ですが、ポツリポツリとやっていてもなかなか消費者には浸透しないんですね。
やるのなら、地域のクリーニング屋さんが一体となって、やると、消費者に認知されやすいし、やりやすいと思うんです。
また、セカンドオピニオンの性質上、本来ならみんなで取り組んだ方が良いと思うのです。
どこの団体が仕切っているとか、誰が言い出したとか関係なく、みんなの目標、みんなのスローガン、そういうものであったほうが良いと思います。
数年前から、チーム-6%と言うものがあるのをご存知でしょうか。
これは地球温暖化にたいする日本政府の国家プロジェクトの一つで、団体、組織、個人と言うくくりではなく、地球と言うチームの一員であること、みんなで目標を達成するように掲げられたアクションプランなんです。
チーム-6%のホームページではこう書いてあります。
「一人ひとりの力はそれほど大きくないかもしれない。一人ひとりの行いは、ちょっとしたことかもしれない。でも、それがチームとなって結集すれば、地球規模の大きな力になれる。」
まさしくそのとおりだと思いますね。
みんながやらないではなく、自分に出来ることを少しずつやっていき、そういう人たちが少しずつ増えていくと、とても大きな力となる、私もそう思いますね。
クリーニングのセカンドオピニオンもいきなり業界レベルでの話は難しいと思いますが、組合レベル、青年部レベルなら十分可能じゃないでしょうか。
ぜひ、みんなで検討して、挑戦してみてください。
そして、ゆくゆくは、組合員以外にも窓口を開き、組合員、アウトサイダーが同じ目標に向かってやっていける、そんな取り組みを実現していっていただけたら良いなと思います。
ぜひ、がんばってください。
工藤隆史
ここからは補足です。
クリーニングのセカンドオピニオンをするにはどうすれば良いか?考えちゃいますよね。
具体的に何が必要か?といいますと、物はロゴや協賛のポスターくらい。
クリーニングのセカンドオピニオンを協賛してくれる業者が分かるように、ロゴがあるとやりやすいと思います。
それらを店頭に張ったり、受付に張っておいたり、各店チラシなどを打つときに片隅に入れるようにしてもらう事で徐々に認知が広がります。
後はみんなの意識です。
業態によっては困難な場面があるかもしれません。
説明できる人がいなかったときはどうするのか?
そういう時はいったんお預かりし、説明できる人間から連絡をさせるか、翌日説明をするかなど対応が出来ると思います。
自分たちの仕事の負担になるようでは長続きしませんから、負担がかからないように工夫が必要です。
また、思いもしない問題が起こるかもしれません。
そのときのために、クリーニングのセカンドオピニオン用のホームページを開設しておくとさらに良いと思います。
ロゴなどはそこにおいておいて、各自必要な人が印刷してはればコストもかかりません。
パソコンが使えない環境の人には実費で近くの人が印刷してあげれば良いんです。
また、ホームページを作っておくと、同業の情報交換が容易になります。
おそらく、消費者の声が届くようになると、今までの常識を超えるような話がたくさん届く事になるでしょう。
すると、疑問が湧き出すんです。
今までのやり方が間違っていたのか?
世の中が変わったのか?
主流はこっちの方なのか?
これらは一人で考えていても先に進まないんです。
こういう話こそ、みんなで共有し、意見を交わす事がとても重要です。
コミュニケーションを交わす事で、新たな価値観が出来ますし、業者側にも基準が出来てきます。
すると、業界の見解がほぼ一致しだすんです。
これはかなり重要なポイントであると言えます。
まだ、生まれたばかりのクリーニングのセカンドオピニオン。
全国各地で皆さんが始めることできっと良くなると信じています。
頑張りましょうね。
投稿者 boribori : 2008年03月27日 23:27