2007年09月17日
せっかくの機会なんだから・・・。
昨日の話の続きです。
としまえんでの展示会で、新溶剤のテストをしてきました。
稼動している機械がありまして、品物を持っていくとテスト洗いをしてくれます。
この新溶剤、実は今注目されているものなんです。
今後、クリーニング業界で使われているドライ溶剤は、規制の対象になるものやなるかもしれないと言ったものが多いのですが、この新溶剤は一切規制を受けなくてすんでしまうかもしれない溶剤なんです。
少なくとも、現段階において、規制の対象になる予定はまったくありません。
実はフッ素なんですが、代替溶剤なんです。
以前ここでフッ素の事を取り上げました。
フッ素、いわゆるフロンと言うやつですね。
このフロンが規制の対象になっていまして、一番最初に使われていたものはすでに使えなくなっています。
そしてその後、代替フロンというものが出てきました。
近いやつを探してきたと言った感じでしょうか。
ところが、この代替フロンもずっと使い続ける事が出来ないんです。
そこで、新しく変わるものが出てきた、と言った感じです。
フロンの特徴として、引火しないので安全、沸点が低いので乾燥温度が低くなり事故が減る、油脂溶解力が低いのでデリケートな洗いが出来る、と言ったことがあります。
今回の代替フロン、なぜ前評判が高かったかと言いますと、環境面に優れた性能を発揮しつつ、石油系の溶剤よりも汚れが落ちる、そういうふれこみだったんです。
フロンは蒸留しながら使いますので、いつも溶剤がきれい。
逆汚染など起こりにくくなっています。
ところが石油系の溶剤は蒸留器をつけなければろ過しながら使う事になりますので、蒸留に比べてもよほどきちんと管理をしないと、逆汚染が起こることがあるんです。
そういう意味でも、汚れ落ちが石油系よりよく、逆汚染がしなくて、事故がおきにくく、環境にもやさしい、そう考えるととてつもなく良い物のように聞こえてきませんか?
そこで、テスト洗いをしてもらいどのような感じか見る事にしていたんです。
ところが、結果は散々なものでした。
出てきた衣類を見てがっかり。
何でこうなってしまったんでしょうか。
新溶剤が悪いのか?
いえいえ、現段階では新溶剤の判断は出来ません。
と言うのも今回の問題は別のところにあったんです。
まず、テスト洗いをするのに、きちんとした選別をしていませんでした。
いくら万能の溶剤だと言えども、選別をしないで洗えるわけはありません。
硬い衣類と柔らかい衣類、一緒に洗っていいわけないですもの。
そして、さらにミスを犯していたらしいんですね。
前日、新溶剤の中に洗剤を混ぜるんですが、どうやら量を多く入れてしまったようなんです。
笑いながら、思わず・・・、なんていっていましたが、何で笑っていられるのか、私には理解できませんでした。
と言うのもですね、現在、クリーニング屋さんの業界では実際に機械が稼動していたり洗い上がりを見るなんていうことは、展示会に行くか導入しているお店にいくかしないと見る事が出来ないんです。
新溶剤ですから、どこでも導入していると言うわけでもありませんし、ましてやまだクリーニング業界は不況の真っ只中。
どこでも展示会が行われるわけではないし、こうして機械が稼動しているのも珍しい状況なんです。
おそらく、私が同じ溶剤と機械を目にするのは最速でも一年は先になってしまいます。
せっかくのチャンス、しかも新溶剤を覚えてもらうチャンスに何をやっているんだか。
今後、いろいろなところで仲間や友達から新溶剤について聞かれるでしょう。
しかし、昨日のような内容ではとてもいい話をすることは出来ません。
笑っている場合じゃないですよ。
特にですね、私が思うのがどのような状態で洗っているのかと言う説明や表示がまったくないんですよね。
正直言いまして、がっかりと言うかなめてるのか?と言うのか・・・。
ドライクリーニングは、中の状態が非常に左右されるものなんですね。
たとえば、真新しい溶剤を入れて洗うのと今まで使っていたもので洗うのとではまったく変わります。
また、洗剤の投入量も影響してきますよね。
今日何回まわしているかとか、詳しい情報をなぜ展示しないのか。
昨日のやり方では、せっかくのいい溶剤も疑ってみてしまうんです。
現場に持ち込んだら、メーカーが言うような結果は出ないだろ、とかね。
私が持っていった品物、友達が持っていった品物、数点見比べたんですが、評判が高かったはずの高級獣毛衣料、アンゴラやカシミヤですね、それらがあんまり良くないんです。
仲間内で話し合っていましたが、みんな納得できない。
業界紙の新聞記者さんにいわれてメーカーの人と話をしましたが、いい話をしようにも出来るはずがない。
だって、溶剤とは関係がない洗い方でおかしくしてしまっているんですもの。
いくらいい溶剤でもやっぱり洗い方は重要って事ですよね。
いくら乾燥の温度が低いといっても、まわしてしまったらこうなるなと言う典型的な例でした。
要は、扱いが非常に悪かったんです。
実演販売でも、見ていてスカッ!とするような演技を見せてくれます。
その見事な実演っぷりに自分でも出来るかも!と思うわけです。
実演がひどけりゃねえ・・・。
悪いところをあげるのは誰でも出来ますからね。
本当は少しでもいい話をしてあげたいんですけど、今回ばかりは・・・。
帰ってきてから、成分表を眺めつつ、どうしてこうなったのか?自分なりに分析をしてみました。
友達とも電話で話して、確認。
ある意味納得の結果ですね。
今の状態だと、結果的に大きな工場向けになっちゃうのかな。
私たちの技術もありますが、機械はどうしても必要です。
日本のクリーニングの技術の半分は機械メーカーの力といってもいいと思っています。
だからこそ、今回のような結果は非常に残念でたまりません。
もっと頑張りましょう。
勝ち組負け組みなんて言っている場合じゃないですよ。
お客さまにいいクリーニングを提供できるようになるまで、業界で頑張らないと。
次に期待です。
投稿者 boribori : 2007年09月17日 23:51