« 3歳までは悩みますね。 | メイン | 受付と工場の温度差 »
2007年09月12日
肌とクリーニング
コメントをいただきました。
チェーン店の受付をされている方で、コメントを読んでいても一生懸命さが伝わってきます。
何とかして、お客様の期待にこたえようと努力しているんでしょうね。
ご質問内容は、「肌が弱く溶剤に弱いので、どうにかならないか」と言う事で、それに対する工場の返答は、「クリーニングの溶剤はどこも同じで、どうにもならない」との事。
本当にそうなのでしょうか。
この文章からでは具体的に、どのようなときに肌に影響が出るのかいまいちぴんと来ないので、実際はもっと細かくお客様にお話を伺った方が良いと思うのですが、仮に、溶剤の残留が原因とすると、実は答えは簡単だったりします。
溶剤は、きちんと乾燥してしまえば飛んでしまいますので影響はないはず。
乾燥不足に原因があるわけです。
しかし、もし溶剤の残留で肌に影響が出ているとすると、科学やけどを起こしそうです。
肌が弱いから・・・、なんていうレベルでは収まらず、病院へ行かなければならないほどになってしまうと思うんですね。
溶剤の残留にはいろいろ原因がありまして、一つは乾燥不足。
乾燥を時間で区切ってやっている業者さんに多いんですよね
乾燥時間は20分だとか決めちゃっているので、量が多かったり厚手の生地だったりすると、溶剤が残留しやすくなります。
また、ホットマシンといいまして、洗いから乾燥工程まで一気にやってしまうがあるのですが、これらも詰め込みすぎる事で溶剤が残留しやすくなってしまうんです。
クリーニングから返った服を袋から出して、石油のにおいがするかどうか聞いて見てはいかがでしょうか?
もしするのなら、工場の仕事を疑いましょう。
石油系の場合、臭いが出てやけどなどを起こしますが、パークロルエチレンという溶剤を使っている場合、やけどだけではすまないケースもあります。
嗅いでいると肝臓が痛くなることがあるほど強力なものなので、使っている溶剤の確認も必要ですね。
もう一つ、気になったのが、溶剤ではなく、生地のすれかなあという事でした。
縮んで硬くなったり、毛羽立ったりして、肌が弱い人にはかなりきつい条件になったりします。
どうしてこうなるかといいますと、洗いと乾燥に問題があるんです。
やはりこれも大きくやっているところに多いのですが、生産性をあげるために、生地の選別もろくにせず、なんでもガチャガチャ洗ってしまうんです。
すると、生地の目が詰まっていきまして、本来の柔らかさがなくなり、硬くなる。
物によっては、毛羽立ってしまう。
品物に合わせたクリーニングが出来ていないんです。
では、どうすれば良いか?となりますが、もし上記のような事が原因だとすると、工場の仕事を変えてもらうか、お店を変えるかしかないと思います。
かなり過敏な方だとすると、乾燥不十分のものを、ご家庭で干しても、完全に除去できるかというとこれも難しい。
最終的に、熱をかけないとなかなか全部は飛んでくれません。
洗いなんて根本的な問題ですし・・・。
もし軽いのなら、臭いがしたら一度干していただくとか、生地の硬さやすれなどが原因だとしたら柔軟材やシリコンなどですべりを良くしてもらうとかあるんですが・・・。
また、これとは別に、化学物質過敏症ですと、また話が変わってきてしまいます。
もう10年近く前になるでしょうか、一部上々某有名クリーニング屋さんの元研究所所長をされていた方と話す機会がありまして、その時に洗剤を使わないクリーニングのついて議論した事がありました。
やはり、化学物質過敏症のお客様が、どうしても通常のクリーニングではダメだというので、対策を考えたいという事なんです。
ドライクリーニングをしても、本当に微量ですが、溶剤ではなく洗剤が付着するんです。
これがどうしても影響が出てしまうんですね。
そこで、水洗いをしてみようとなったんですが、やはり洗剤が使えない。
そこで、考えたのが、洗剤を使わないクリーニング。
洗剤の代わりに、炭を使ったりとアイデアを出していたんですが、汚れをきれいに落とすということはなかなか難しくなってしまいます。
うーん、何とかしてあげたいですね。
チェーン店の受付として、他のお店に持っていってみてください、なんていうのはやっぱり嫌でしょうしね。
もう少し詳しくお話を聞いてみてください。
ダメならダメなりに、何かしらの提案や対策はあるはずです。
諦めないで、もう少し詳しく症状や状況を聴いて見ましょう。
何らかの打開策が見えてくるはずです。
投稿者 boribori : 2007年09月12日 23:51
コメント
ありがとうございます!丁寧で解りやすい説明をいただき、とても嬉しいです。お客様から結果だけではなく、過程や状況なども、お聞きすることが大切だと感じました。お返事を読んでいて、ドキッ!としたのがドライクリーニングのこと。工場から店舗にやってきたときに、とてもガソリン臭いんです。「どうして、こんなに臭いの?」と聞いたところ「ドライクリーニングだから」という返答でした。あまりに臭いのでお客様が来られるギリギリまで封をせずに風を通しているのですが、においは飛ばず、お引き渡しが心苦しいことがしばしばあります。そういうことだったのですね…。仕上がりには、かなり不信があります。お客様のなかには、仕上がりをよく見ていられるかたもいて、何度もクレームを頂き申し訳なくて、そのお客様の品物には「仕上がり要注意」と書いたタグをつけて工場に送ります(引き渡しの前にそのタグは外して組み込みます)。おはずかし話です…。
チェーン店だから、とあきらめたくないです。
投稿者 浅美 : 2007年09月13日 17:43
麻美さん、毎度です。
コメントを読ませてもらう限り、溶剤の残留が一番濃厚でしょうか。
かなり厳しいお話になりますが、こうじょうにしっかりとクレームをつけた方が良いと思います。
返ってきた品物がガソリン臭い、という事は完全に溶剤の残留です。
溶剤が残留していると科学火傷を起こしてしまう可能性があります。
治療費で100万単位で請求された知り合いもいました。
ドライクリーニングしているから臭いがする、こんなのは通用しません。
間違った説明ですね。
また、お渡しするまで風通しの良いところで乾かしている、との事ですが、これもかなり危険なんです。
溶剤は有機溶剤でして、実は気化したものを吸い込むというのは非常に危険なんです。
頭痛やめまい、吐き気などをもよおす事もあります。
石油系の溶剤ですと、引火性もあります。
濃度によっては引火してしまいます。
何にせよ、お客様のお体にも働いている麻美さんにも、いい状況じゃないでしょう。
工場のほうで直す事が出来る事ですので、しっかりとやってもらってくださいね。
投稿者 boribori : 2007年09月14日 07:52