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2007年05月21日
取れないしわ
先日、お客様から相談を受けました。
スカートについているリボンのシワが取れない。
何とかなりませんか?
お話を伺いますと、以前ご利用されていたクリーニング屋さんで洗ってもらったら、腰の辺りについているリボンがしわくちゃになって返ってきたらしいのです。
リボンがしわになっていると、それだけでその服が急に見栄えが悪くなるんですね。
早速、リボンのしわを取ってもらうように再度お願いをしたらしいのですが、このしわは取れないと帰ってきたようなんです。
チェーン店だったので、今度は個人店へ持ち込み、しわを取ってもらうようお願いした所、こちらでも無理といわれたらしいんです。
極稀ですが、確かに取れないしわってあります。
素材の組み合わせで、何度かけてもシワが取れないんです。
こういう時はちょっとテクニックを使いまして、一時的にシワが戻らないようにしてしまいますが、着用して時間が経つとやっぱり元に戻ってしまったりします。
今回のリボンはどうなのか?
お預かりしまして、素材を見てみますとポリエステル100%のリボンです。
まずこの時点で、どうしてシワがついたのか?ある程度予想がつきます。
そして、予想がつくと、それにあわせた対応策がいくつか出てくるんです。
ポリエステルは化学繊維で、熱でプレスされると固定化する癖があります。
今回のリボンのしわは、乾燥機から出して、まだ熱いのにそのまま重ねて置いておいてプレスされたものと思います。
乾燥機から出して熱い衣類を重ねていくと、中で熱がこもり、表面以上に温度が上がったりします。
さらに、重ねた衣類の重みで取れないシワが出来上がってしまうのです。
とりあえず、他の業者さんがやって取れなかったというのが本当かどうかテストです。
朝一でアイロンに熱を入れまして、通常かけるようにさっとかけてみます。
うん、強力にしわがついている。
このやり方では取れないことを確認します。
そして次に、一般的なしわの取り方でテスト。
実はしわを取る時はアイロンをあまり速く動かさないんです。
通常かけるときは、割りとスーっと動かしていますが、これでは頑固なしわは取れません。
じっくりとゆっくりと動かして伸ばしていくととれるんですが、これもやはりコツがあるんですね。
早速やってみます。
ぐっとリボンの生地を張りまして、アイロンをあてます。
先ほどとは違い、じっくりとゆっくりとアイロンを滑らしていきます。
10センチを10秒以上かけたでしょうか。
さー、どうだ?
バッチリ、シワが取れている!
頑固といってもこれで取れるならまだ楽なほうだったんでしょうね。
ただ、かけた直後は伸びていてもシワが戻る可能性があるので、一日様子見です。
朝一でかけましたから、お昼頃見て、夕方見て、とりあえずOK。
明日の朝もう一度見て、今度は洗ってみて何とも無ければ納品できますかね。
実はこれで取れない場合、さらに強力なやり方を取ってあったんです。
最後はそれで絶対取れるな、と思っていたんですけどね。
ポリエステル、と素材が分かっていれば、その特徴からどのようにすればいいか分かります。
また、原因も予想できるでしょう。
取れない、と言うだけでなく、どうして取れないのか?きちんとお客様に説明をしないと、お客様はあきらめる事も出来ませんし納得も出来ないと思います。
簡単にアイロンを当てて取れない?もうちょっとひねろうよ。(笑)
プロなんだから、諦めないで考えましょう。
たかがリボンかもしれないけど、そのリボンが綺麗だと服が映えるんです。
だから、リボンもとても大事なんです。
投稿者 boribori : 2007年05月21日 23:21
コメント
先日クリーニング店で居合わせた人が、
「イカスミは落とせますか?」と
店員さんと話していました。
どうやら食事の時にはねてしまった様子。
どんな素材でどんな色の服にはねて
しまったのかまでは話していませんでしたが、
店員さん曰く
「染めるのにも使われるくらいだから、
まず落とすことはできないでしょう」
せめてそのお客さんも、実物を持ってきて
見てもらいながら相談すればいいのに…
と思いましたし、
店の人も「実物を見て、詳しい話を
聞いてからでないと判断しかねます」
といった程度のことは言うのかな?と
素人ながらぼんやりと考えていたのですが。
この件でその店に不信感をもったわけでは
まったくないのですが、
なんとな~く“面倒そうなのは受けたくない”的な
考えが透けて見えたような気がしました。
ま、個人的には、その時の格好次第で
食事には十分配慮しましょうよ と思いますけどね。
投稿者 くま : 2007年05月22日 10:02
くまさん、まいどです。
よく見てますねえ。(^.^)
このようなご質問はたくさん頂きます。
○○のシミ落とせますか?
前にも書きましたが、シミが落ちる落ちないというのは、シミの種類以外にも複数の要因が絡んできます。
どのシミだから絶対落ちる!なんて事はいえないんですよね。
また、落ちますよ、と安易に答えてしまって万が一落ちなかった場合、クレームになる事も考えられますから、どうしても用心深くなってしまうのかもしれません。
しかし、イカスミが染めに使われているとは知りませんでした。
ちょっと調べてみると、どうやらそのような研究が行われている様子。
奥が深いもんですね。
イカスミとは別に、墨汁などの墨は落とす事が出来ないといっても良いかもしれません。こちらも状態により落とす事ができるケースもあるのですが、とても難しいケースの一つですね。
染み抜きはリスクが高いのと手間がかかるので、確かに受けたくないという心理が働くのかな。
お客様が望んだ形になるかどうかわかりませんしね。
その辺の微妙な心理状況、今度ブログに書いてみましょうか。
投稿者 boribori : 2007年05月22日 15:00